どもKENTEKOです。
現在、無職を”満喫”とはいかないまでも、追われる事の無い時間を気ままに生きている状況。
ここに至ったのは会社が売却できたから。
「会社の売却」というと、売った事で多額のキャッシュを得て、悠々自適の人生かと思われそうですが、私の現実はそうではなく、危うく自己破産も視野に入れた人生設計に踏み出すところでした。しかしそうはならなかったので、こんな経験も誰かの役に立てばを恥をさらけ出します(笑)
- ・会社の立ち上げ
- ・事業の失敗
- ・赤字運営の常習化
- ・むやみに配達エリアを広げたツケ
- ・無休による余裕の無さ
- ・赤字は続くよどこまでも
- ・経営者の離脱
- ・撤退について
- ・孤軍奮闘
- ・安易な融資は地獄の一丁目かも
- ・見切りをつける
・会社の立ち上げ
私たちが立ち上げたのは合同会社。
理由は、会社の方が社会的信用を得られると思ったから。
厚生年金に入りたかったから。
と、とてもちっぽけな事である。
”私たち”と書いたのは、出資者二名で会社を立ち上げたため。
所謂世の中で”禁忌”とされる『共同経営』です。
今思うと、事業が上手くいくかどうかも分からないうちに会社法人の立ち上げなど考えず『個人事業主』でやっていれば良かったと思う。
その方がよっぽど自由にやれただろう。
儲かってなくても毎年法人税は最低額(6~7万)だが奪われるし。
個人事業主なら0円ですわ。
合同会社だと、いくら会社を安く設立できるといっても、登記申請や実印作成などで何だかんだで、10万弱はかかるので、その資金は事業に回した方がいい。
あと仮に売上が立ち年間で1000万円を超える場合、消費税の課税事業者になる時期を先送りできるメリットもある。
今更どうしようもない(笑)
ただし、会社を作ったという結果は、後々良い方向に転ぶのであった。
・事業の失敗
とりあえずで会社を作ってしまった私たちは焦っていた。
何をしていくのかを決めないまま会社を作ってしまったからだ。
何事も「勢いは大切」とはいうが。
事業を選びも失敗した。
起業でやってはいけない三カ条がある。
・利益率、利益額の低い商売
・在庫を抱える商売
・他人の作った商品を売る商売
我々はその全てを備える『高齢者配食ビジネス』に手を出してしまった。
理由はこれまた単純。
①これから高齢者が増える。
②高齢者相手のビジネス流行る。
③資格が特に不要。そして簡単。
④高齢者配食儲かりそう。
本部が出してくる事業計画や募集広告にも夢の様な数字が並んでいた。
彷徨える子羊状態の我々には、夢の様な事業に見えてしまっていた。
「ニーズがあれば上手くいく!!」と。
そして、あまり比較検討する事なく、慌ててフランチャイズ加盟。
この高齢者配食事業を仕切るのは代表社員の共同経営者となり、私は手元に車両があったので軽貨物の事業を開始。
何とか自分達が「何屋」なのかを世間に向けて言える状態になった事に安堵したのでした。
儲からないのにも関わらず・・・。
・赤字運営の常習化
同系列チェーン店が居ない目新しさもあって、新規顧客の紹介は三か月目以降で徐々に増えてきていた。
売上も
初月 3万円
三ヶ月目 29万円
六ヶ月目 51万円
九ヶ月目 111万円
十二ヶ月目 159万円
という推移になり、思いの外順調に売上も伸びてきて、2年目に差し掛かる頃に人的資源の集中を図るという事で私も配食事業に参加する事とした。
一年一ヶ月目 193万円
一年二ヶ月目 215万円
となり、売上だけを見れば超順調な経過を辿っている様に見えていた。
・むやみに配達エリアを広げたツケ
一年一ヶ月目と一年二ヶ月目で大きく売上が増えたのだが、これはエリア無制限で集客した結果である。
それにより、配達トラブル(遅配、誤配)が激増した時期でもある。
また赤字が止まらない原因でもあった。
粗利の大きい宅配ピザなどであれば、エリア拡大をしても集客したいとやっていく場面であるが、弁当宅配は薄利のため、単にエリア拡大するだけでは利益が出ない事態に直面する事がわかった。
私が配達していた時の顧客をAさんとしたら、店舗からAさん宅への配達が30分かかる。
そこから次のBさん宅へ20分程かかっていた。
Aさん宅への配達内容は1食550円の弁当一個。
時給1000円の人を使うので、人件費が500円かかる。
売価550円のお弁当は粗利330円だ。
一個届けるのに人件費だけで170円の赤字。
更に燃料費や各種固定費も上乗せすれば、250~260円の赤字に。
常に「スタッフにやってもらったら」を想定していたので「移動に片道30分かかる宅配では利益が出るわけがない」と分かっていたので何度も代表へ打診はしたが、一回受けてしまったので断りにくいのと、次に顧客を紹介をしてもらえないかもしれないという恐怖から身動きが出来なくなってしまっていた。
代表が安易に誤った決断とその事の改善が出来なかった事で、そんな赤字になる地雷のコースを一年弱続ける事となった。
小規模事業の赤字って、こういう事の積み重ねなんだと思う。
最終的には代表に対し私が激怒し、配達するにあたり無理のある配達エリアを無くす事に着手、最低でも収支トントンで納まる配達エリアだけで運営する流れにした。
・無休による余裕の無さ
配食事業を仕切っていた代表社員の決定で、年中無休で営業していたため、途中から入った私も270日を超える連勤になってしまった。
休みは正月三が日だけ。それ以外は全部出勤。
創業期なので、1~2年程度の無休は覚悟はしていた。共同経営者も同様であった。
しかし出口戦略は考えられていなかった。
食事のインフラを支えるという事は理解できるのだが、それを埋めるのが全部自分達の勤務となるとそれは無理になってくる。
何度も話し合ったが、代表は「俺が居ないと回らない病」を患ってしまっており、結局人に任せる事が出来ない性格が前面に出てきてしまっていた。
代表は元部下だったので、定期的なフィードバック面接をしていたのでそういう性格についてはある程度理解していたのだが、経営者となったこの段階でソレが出てしまうと、成長発展が難しくなると感じた。
基本的に店舗を増やさないと、この商売は儲からないという事が判っていたので、この一店舗目だけに時間を費やせないのだが、現場作業は考える事が少なくなるので楽だ。
その楽さ加減に完全に飲み込まれていたのだった。
・赤字は続くよどこまでも
初年度(2018年)の営業利益は▲499万円、2年目▲200万円、3年目▲200万円、4年目予測▲200万(ここは未知数だが、これまでの実績から大きく跳ねる商売ではないのでほぼ確定かと)
これだけ赤字が続くと、流石に資金不足でお手上げ状態となる。
経営者として、まだここから先の明るい未来を信じて資金注入するのか、といった判断をしないといけない時期になっていた。
代表にそういう相談を持ち掛けるも、自身の生活問題があり、考える事が出来ない様子であった。
経営者としては、かなりまずい状態である。
・経営者の離脱
3年目の途中で代表だった共同経営者に変化があった。
聞くと貯蓄も無くなりつつあり家を売らないといけないところまで追い詰められてしまったという。
それは大変だと思った。
二年目の終わり頃に話していた事で『撤退基準』を決めたいと、私から代表に打診をしていた。
私の考えでは「三年目を迎えて、営業利益が出ていなかったら辞めよう」という内容。
結果的にその状況になっていたため、二人の意識としては『撤退』の二文字があった。
しかし、具体的にスケジュールを決める前に、代表の生活破綻のタイミングが来てしまったのだ。
そもそも家計が危険な状態になっている事については、奥さんからも相談が何度かあったみたいなのだが、疲れからか相手をする事なく来てしまった結果だとも言っていた。
聞けば聞く程、もう『待ったなし』の状態だったので、私から提案を出した。
とにかく毎月の収入がある環境に行かないといけないだろうと、代表に退職する事を提案。
私自身はまったく改善に自信が持てないまま「後は俺に任せて」とカッコつけて送り出した。
言ったその日の夜、これからの事を案じ「どうしよう」と眠れない日々が始まった。
・撤退について
二年目の終わり頃、配食事業の成長性についての疑問が大きくなっていたので、事業撤退について、代表と相談する回数が多くなっていた。
創業融資の元本残り約180万は経営者二人で折半するとして、一番問題になったのは「違約金」であった。
契約期間内での自己都合撤退になるので、違約金が発生する可能性がほぼ100%。
以前、近隣で撤退をする店舗オーナーから顧客の引き継ぎをしていく中、色々聞いていて、「違約金はこれくらいかかる」という情報を得ていたので、その計算方法に沿って試算をしてみた。
試算額を見て代表が「こんなに払えない」と青くなった。
それを見て、私は二人揃っている時期での撤退は難しそうだと感じた。
・孤軍奮闘
薄利事業とすでに借りてしまった融資。
いくら試算しても、黒字になるまでの時間がとんでもなくかかる。
色々考えても無駄だからとにかく行動だ!と奔走するも、毎月出る結果を見て「あぁ、やっぱり」となっていった。
どうしても試算に近い結果になってしまう。
※試算の正確性が高かいという事でもあるけど。
『売り方よりも売る物が重要である』という言葉が身に染みた。
固定客へのデリバリーだから売上も経費もほぼ分かってしまう。
主に紹介制の新規顧客も簡単には増えない。増えても経費も増えるので利益が縮む。
弁当自体があまり魅力が無いみたいで、「あんたのとこの弁当はべちゃべちゃだ」といったお小言をよく頂く。逆の意味での商品の差別化が進む。
大きく変動する要素が少ないからこそ、先々の赤字まで読めてしまう。
・安易な融資は地獄の一丁目かも
ちょうど「新型コロナ融資」で運転資金が借りやすいという時期でもあったため、創業融資の穴埋め+運転資金増資を考えて申請。
500万円の融資を受ける事が出来た。
創業融資の残額は約180万円と100万以上は返済していた。
この創業融資が曲者で半年後には返済が始まった。
利益も出ていない時期からの元本返済。手元資金があっという間に消えていった。
運転資金にも使えなかったので、融資の意味は無かったね。
赤字運営に融資返済金が上乗せとなり、毎月の資金繰りが確実に厳しくなった。
そんな成長の足枷となっていた創業融資の返済も三年後に先送り出来る事になった事は、資金繰りにおいて大きなメリットとなる事は明白だった。
・見切りをつける
当面の資金繰りに目途をつけ「これで三年後になんとか黒字化を」と考えていたが、色々やっているうちに、自分の中の熱が一気に冷めてしまったのを感じた。
「一体俺は何をやっているんだ?」って。
無休は回避できたが、無給は回避出来ていない。
会社法人の役員としてしまった事で、報酬の自由度を無くしてしまったのがダメだった。
毎月10万円くらい会社に貸付て、お弁当の配達作業をさせてもらってるこの状況。
貸し付けた金は返ってこないだろうな~と思ってた。正解。
苦労して『無給の作業経営者』になっている事に気付き、直近での資金繰りに心配がなくなった事で現実を冷静に見る時間が出来たんだろう。
②へつづく
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